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2024.03.15
【症例】外部吸収された大臼歯に対する「抜歯即時インプラント」
治療概要
治療内容 | インプラント治療 |
---|---|
期間 | 3ヶ月 |
治療回数 | 6回 |
費用 | インプラント埋入 275,000円(税込) 人工骨(メンブレン費用含む) 55,000円(税込) 土台 55,000円(税込) 被せもの 181,500円(税込) |
治療前の状態・主訴
患者様は30代の男性です。10年ほど前に根管治療をしている歯がありましたが、食後にズーンと感じる痛みが出たため、来院されました。
レントゲン、CT検査、歯周検査を行ったところ、外部吸収されている歯の根があり、付近の歯茎が炎症を起こしていることが分かりました。
初診時レントゲン写真
CT断面像
下顎管との距離
「外部吸収」とは?
歯の根が、何らかの原因により外側から吸収され、溶けてなくなることです。発症原因は次のようなものが考えられます(必ずしも発症するとは限りません)
・ケガや事故で歯に過度な力がかかった
・矯正治療で歯を大きく動かした
・歯の移植で組織がうまく定着しなかった
・親知らずなど、歯が曲がって生えた
・もともとの歯の形、過去の根管治療、アレルギーなどの疾患、噛み合わせ不良 など
ちなみに、歯根の内側から吸収されることを「内部吸収」といいます。外部吸収も内部吸収も、進行すると歯がグラグラしたり、痛みを感じたりします。
今回の患者様の場合、外部吸収を起こしている範囲がかなり深く、頬側骨同縁付近まで進行していました。そのため、治療の第一選択として抜歯について説明し、抜歯後の選択肢として①ブリッジ、②入れ歯、③インプラントの3つを提案しました。
【①ブリッジ】
両サイドの歯を削って装着する、3つの歯がつながった形の被せ物
メリット:保険適用で、治療期間が短い。
デメリット:両サイドの健康な歯を削る必要があり、汚れが溜まりやすい。
【②入れ歯】
取り外し式の装置を使って、歯の機能の回復を図る。
メリット:保険適用で、抜歯本数が少なければ治療期間が短い。
デメリット:材料が劣化しやすく、見た目や臭いが気になりやすい。
【③インプラント】
チタン製のインプラント体(人工歯根)を、骨の中に埋める。
メリット:取り外す必要がなく、自分の歯のようにしっかり噛める。
デメリット:自由診療で、手術が必要。治療期間が比較的長い。
患者様は、「自分の歯をなるべく削らず、歯の寿命も長持ちさせたい」と考えて、③インプラント治療を選択されました。インプラント治療の中でも、抜歯をした日にインプラントを埋入する「抜歯即時インプラント」という方法で手術を行いました。
治療詳細
「抜歯即即時インプラント埋入」は、通常の手術と比較して格段に繊細な技術を要する手術です。
まず抜歯をした後にインプラント用の穴を形成し、インプラントを埋入します。
インプラント用の穴を形成
インプラント埋入
抜歯後の穴(歯根があった穴)が大きく残っているため、そこに「人工骨」と呼ばれる材料を補填します。
人工骨を填入
材料がこぼれないように「非吸収性メンブレン」と呼ばれる膜を敷きます。
非吸収性メンブレンを装着
3〜4週間後にメンブレンを除去すると、新しい歯茎ができ上がっています。
非吸収性メンブレン装着から1ヶ月後
非吸収性メンブレン除去後
そこからさらに2ヶ月待ちます。
2ヶ月経過(抜歯から約3ヶ月経過)
そして、2次手術を行います。一度歯肉が閉じたインプラント部分にレーザーを用いて穴をあけ、貫通させる処置です。
2次手術後
その後に型取りを行い、被せものを装着しました。
被せ物を装着
治療後の様子
手術が終わってから約3ヶ月で、治療は完了しました。即時インプラントで治療期間が短くなったことや、発症する前と同様に違和感なく咬めるようになったことに、患者様は大変満足されました。
レントゲンで確認しても、下顎管(神経が走行している管)とインプラントとは十分な距離が確保できており、非常に順調に経過していることが分かります。
術後のレントゲン
主な副作用・リスク
・術後に腫れや痛みがでる可能性があります。
・術後感染が起きるとインプラントを撤去する必要がありあます。その場合は治癒後に再手術となります。費用はかかりません。
・自由診療となります。
<適切な「抜歯即時インプラント」なら安全で短期間での治療が可能>
「抜歯即時インプラント」という技術は、主に前歯でその威力を発揮します。仮歯をすぐにインプラントと繋げられるよう工夫して手術することで、“歯抜け”の状態を1日でも無くせるためです。この手術法は、正式には「抜歯即時埋入・即時荷重」と呼ばれています。
奥歯の場合は、審美的に早急に仮歯を入れないといけないわけではないですし、咬む力が大きくかかるので、即時荷重をかけても問題ないかリスクを考慮して選択するほうが無難です。
渋谷マロン歯科Tokyoでは、抜歯即時埋入の手術を受けた方には、術後に極力咬まないように注意していただいています。繊細な手術法なだけに、治療成功には患者様のご協力も欠かせません。
当院のインプラントの手術は、ほぼすべて抜歯即時埋入で行っていますが、その治療成績は非常に良いものだと自負しています。適応する方法をきちんと選び、適切に進めれば非常に安心安全な手術で、治療期間も格段に短くなります。
しかしまずは、このような大変な治療にならないよう、自分の歯を残すように努めることが一番大切です。
各分野の専門家が集まることで、高難度の治療も成功
当院では、根管治療の専門家も在籍しており、歯の保存には可能な限り対応しています。もし「抜歯したほうが良い」という判断になっても、歯茎の骨が残っていないとインプラント埋入ができない場合もあります。そのため、当院のように“歯を残す専門家” である根管治療の医師と、“歯を植える専門家”であるインプラントの医師、双方が在籍している歯科医院で適切な診断を受けていただくことをお勧めします。
痛みがないからといって、問題のある歯をそのままにしておくことは望ましくありません。結果、問題の先送りになっているケースが非常に多く見られます。また、他院で「歯を使えるところまで使いましょう」と言われたために、実は歯茎の骨がどんどん溶けて手遅れになっていたというケースもよくあります。
歯の治療は、できるだけ再治療にならないよう一度の治療をしっかり行うべきで、そのためには適切なタイミングで治療に介入する必要があります。渋谷マロン歯科Tokyoには、“最終診断をする歯科医院”として各専門家が在籍しているため、口腔内に関するあらゆる問題を解決し、当院で治療を完結させることができます。お口のことでお悩みがある方は、ぜひ一度渋谷マロン歯科Tokyoへご相談ください。
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